看護師の申し送りには、SBAR(エスバー)という手法を活用するのがおすすめだ。SBARは医療安全対策に用いられており、Situation(状況)とBackground(背景)、Assessment(アセスメント)、そしてRecommendation(提案)によって構成されている、つまり、現状を把握した上で具体的な解決の手段を提案するというものだ。このSBARは、もともとアメリカのプロビデンス病院において看護師の教育方法の中で採用された手法である。分かりやすく相手へ情報を伝達することを目的としているだけでなく、医療安全という側面にも焦点を当てることによって、看護師の申し送りには最適なスキルと考えられている。
例えばSituationでは、頻脈とか血圧低下といった状況を簡潔に伝えよう。できれば数値と共に伝達すれば、次の担当看護師にも分かりやすい。
Backgroundは、多くの看護師が文章でダラダラと長くなってしまいやすい部分なので、注意が必要だ。看護師の主観や意見ではなく、できるだけ客観的な事実に基づいた背景を伝えるのが望ましい。
Assessmentは、看護師の主観がメインとなる。心筋梗塞を起こしているようだとか、患者さんの容態が少しずつ悪くなっているなど、看護のプロとして感じたことを簡潔に伝えよう。
最後のRecommendationでは、申し送りを呼んだ看護師が速やかに行動できるよう、何をすべきかを簡潔に述べよう。医師が車で時間がかかったり、どんな検査が必要なのかを提案することによって、スムーズなケアが可能となる。